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【初心者向け】市街化調整区域で土地活用をするにはどうしたらいいの?川越市の方針は?

【初心者向け】市街化調整区域で土地活用をするにはどうしたらいいの?川越市の方針は?

はじめに

・市街化調整区域は土地活用できるの?
・制限があるって聞くけどどうすれば有効活用できるの?
・川越市で市街地調整区域を活用するにはどうしたらいいの?

このようなお悩みをお持ちではありませんか?市街地調整区域は「開発が制限されている地域」となんとなくわかっていても、なんだか難しいイメージを持っている人も多いと思います。

今回は市街化調整区域をわかりやすく解説するだけではなく、どのような活用方法があるのか、川越市ではどのようになっているのかを超初心者向けにわかりやすく解説します。

この記事を読めば市街化調整区域についての理解が深まり、不動産関連業者とお話しても対等に話をすることができるようになります。また、具体的に川越市でどのような土地活用ができるのかという知識も身につけることができます。
市街化調整区域の購入や土地活用をお考えの方は参考にしてみてください。

1 )市街化調整区域とは

市街化調整区域で土地活用
まずは市街化調整区域がどんな特徴を持っているか、簡単に確認しておきましょう。

1-1 )市街化調整区の目的

市街化調整区域とは、開発を進めていく市街化区域に対して、「ここは積極的な開発はしませんよ」という指定を行った区域のことです。原則住宅や商業施設などの開発は行えません。市街化調整区域をもっとわかりやすい言い方に変えるなら「開発制限区域」ということになります。

開発の制限はなぜ必要なのでしょうか?
それは、インフラの整備や人が住みやすい都市を計画的、効果的に行っていくという目的があるからです。

例えば、どこでもどんな開発でもして良いとなった場合、住宅街から離れた場所に数件ずつ家が建っていくとどうなるでしょうか?少人数のために電気・ガス・水道を広範囲に整備しなくてはなりません。また、住民の利便性を高めるための道路の開発などが行われる際も、そのど真ん中に住宅や工場が建っていると開発が進まず、効果的な都市開発ができなくなってしまいます。

市街化調整区域は、開発の制限を定めることで人が集まる地域を限定し、効果的で計画的な都市開発を行い、住む人達がより良い生活ができるようにしています。

1-2 )市街化調整区域は原則建築禁止

市街化調整区域は開発ができない土地。でも住宅や工場、お店もたくさん建っているのはなぜ?と疑問に思われるでしょう。

市街化調整区域は完全に開発ができないわけではなく、許可を取れば開発は可能です。と言っても、なんでも良いわけではありません。どんな目的で、どんな建築物なら建てても良いですよ、という基準が都市計画法の中に定められています

一定の条件を満たし、管轄する市区町村の審査を受けて特例が認められれば新たに建築することができます。

市街化調整区域なのに家がたくさん建っている地域では、市街化調整区域を指定される前に建てられていた住宅や、住宅地として扱われていた土地に関しては継続して使うことができるからです。
しかし、このような場合でもむやみに建て替えやリフォームはできません。都市計画法と各自治体が定める基準を満たし、審査を受けて開発の可否を検討してもらう必要があります。

1-3 ) 建築許可はどこに申請するの?

市街化調整区域の建築許可申請は都道府県知事に対して行います。
都市計画は市区町村でも方針がありますが、広域では都道府県が決めています。市区町村は都道府県の方針を元に都市計画を定めています。

市街化調整区域で建築許可を得たい場合、まずは都道府県知事に申請し、その後各自治体に設置された審査会が都市計画法や市区町村の示す方針を確認しながら申請内容を検討していきます

2 )都市計画法による区分

市街化調整区域で土地活用

市街化調整区域は都市計画法に定められている区域です。都市計画法は市街化調整区域に関する話の中では頻繁に出てきますので、どのようなものか概要を確認しておきましょう。

2-1 )都市計画法とは

都市計画法は豊かで住みやすい都市を作るために開発のルールを定めた法律です
土地の持ち主や企業が自分たちの利益や好みでさまざまな開発を行ってしまうと後から困ったことが起きてしまいます。

例えば、
・住宅が密集しているのに商業施設や生活に必要な施設が遠く離れて住みにくい。
・交通の利便性を高める道路を通したいのに住宅や大きな施設があり開発が進まない。
・田んぼの近くに科学工場が建ち、安心して農業できない。
このような住みにくい街にならないよう行政によるコントロールが必要です。

都市計画法の役割
  • 都市計画の策定
  • 都市計画区域の設定
  • 市街化区域と市街化調整区域の設定と管理

 

都道府県や市区町村はこの都市計画法をもとに無秩序な開発を防ぎ、住民が住みやすい街づくりを行っています。

 

2-2 )都市計画による土地の区分

市街化調整区域は都市計画による区分の1つです。都市計画の区分とはどのようになっているのかを確認してみましょう。都市計画法で、日本の国土は次のように分類されます。

都市計画区域
  • 市街化区域
  • 市街化調整区域
  • 非線引き区域
  • 準都市計画区域
  • 都市計画区域外

都市計画区域

都市計画区域は、都市の健全な発展を計画的に進めるために指定された区域です。この区域内で「市街化区域」と「市街化調整区域」が分けられます
「市街化区域」では、大規模な住宅団地やショッピングモールの建設など積極的な開発が行われます。
「市街化調整区域」では市街地の分散を抑制することで市街化区域の利便性を高めます。

準都市計画区域

準都市計画区域は、将来都市計画区域に指定される可能性がある地域で、一定の土地利用規制が行われます。例えば、将来高速道路が通りそうな場所や交通量の多い観光資源が近くにある地域などが指定されます。開発の進行に伴い、より詳細な都市計画が策定されることがあります。

非線引き区域

非線引き区域は、都市計画区域内で、市街化区域と市街化調整区域の区分がされていない土地です。
この区域では、土地の開発制限は比較的緩やかですが、基本的には人があまり住んでいない土地が指定されます。そのため電気・ガス・水道・道路などのインフラが整っていない土地が多い特徴があります。例えば、地方都市の郊外で、新興住宅地の近辺にある農地が非線引き区域となっている場合があります。

都市計画区域外

都市計画区域外は、都市計画の適用外となる地域で将来的にも開発を行わない区域として指定されます。通常、自然環境が豊かな地域や農業地帯、山間部が含まれます。例えば、富士山の樹海のような山林地域が該当し、将来的にも道路、観光などの開発を行う予定がない土地です。

 

3 )市街化調整区域のメリット・デメリット

市街化調整区域で土地活用

市街化調整区域は使いにくい土地なのでしょうか?
市街化調整区域のメリットとデメリットを比較し、効果的な土地活用を考えていくことが大切です。

3-1 )市街化調整区域のメリット

①安い

市街化調整区域の土地は、市街化区域と比べて価格が安い傾向にあります。都市開発の制限が厳しいため、土地の需要が低く、結果として地価も抑えられます。これにより、低予算で広い土地を購入しやすいというメリットがあります。

②自然が多い

市街化調整区域は、都市の過度な拡大を抑制し、自然環境を保護する目的もあります。そのため、森林や農地など自然豊かな環境が多く残っている傾向です。都市部の喧騒から離れ、静かで緑豊かな場所で暮らしたい人は市街地から離れた市街化調整区域の家を探すのも選択肢の1つです。

③広い土地が手に入りやすい

市街化調整区域では、広い土地が比較的手に入りやすい特徴があります。市街化区域では土地が細分化されていることが多いですが、調整区域では広大な農地や森林地帯がそのまま残されていることが多いため、大規模な土地を一度に購入しやすいメリットがあります。

3-2 )市街化調整区域のデメリット

①ローンが組みにくい

市街化調整区域では、建築や開発の制限が厳しいため、住宅ローンを組むことが難しい場合があります。金融機関は、土地の利用制限や将来の価値の不確実性などの要因から融資に慎重な姿勢を取ることがあります。

②手続きが複雑

市街化調整区域での建築や開発には、許可と手続きが必要です。土地利用の制限が厳しく、自治体の許可を得るための申請手続きや条件を満たすための準備が煩雑です。建築や開発の条件を満たす計画と準備が必要になります。

③インフラが整っていない

市街化調整区域では、電気・ガス・上下水道や道路などのインフラ整備が整っていない土地が多くあります。インフラの整備には多額の費用と時間がかかるため、自力での整備が求められることもあります。

 

4 )市街化調整区域で土地活用が可能なもの

市街化調整区域で開発が可能なものとして、都市計画法34条で基準が示されています。どのような開発、建築が許可される基準なのか、概要をまとめたので確認してみましょう。

4-1 )開発区域周辺に住んでいる人に必要な施設や店舗

開発区域ではなく、その周辺に住んでいる人たちに必要な公共公益施設、日常必需品店舗に関して建築が可能です。都市計画法では市街化区域の開発が優先されますが、市街化区域以外の人たちの生活に必要な開発は認められています

公共公益施設とは
  • 学校
  • 社会福祉施設
  • 医療施設 など
日常必需品店舗とは
  • 日用品販売店
  • 飲食店
  • 理容店
  • 自動車整備工場 など

上記のような開発、建築が可能となります。ただし、これらの主たる利用者は対象となる地域の人たちである。という条件があります。大規模な店舗や広域の利用者獲得を目的としたものは認められていません。

あくまで、市街化区域の開発の妨げにならず、市街化区域以外の人たちの生活を守るための開発は認めますよ。ということです。

4-2 )市街化調整区域に長期間住んでいる人の建築

市街化調整区域にて建築が可能な基準として次のような場合は建築が可能とされています。

市街化調整区域で住宅を建てる基準
  • 市街化調整区域指定前から住んでいる
  • 20年以上居住する親族が所有する土地である
  • 建てる人本人が住む(賃貸ではない)

上記対象者であって自分の居住のためである住居は建築することができます。これにはいくつか条件があり、「既存の集落」としてある程度の住居が密集している地域に限られます
基準外の住宅に関しては各自治体の審査基準によって異なります。
住宅が分散しているとそれだけ道路やインフラ設備に公費をかけなければなりません。すでに住んでいる人々の生活を守るとともに、都市計画の市街化を効率的に行うという意図があります。

4-3 )鉱物資源や観光資源の有効な利用上必要な建築物

地域の資源を有効活用するための開発・建築は可能であると基準で定められています。鉱物資源や観光資源は地域の貴重な財産です。都市計画法では地域の資源は経済や産業の発展のために有効活用が必要であると示しています。

鉱物資源の有効活用に必要な建築物とは
  • 鉱物の採掘・採石・処理施設
  • 鉱物の探査に要する施設
  • 作業に必要な施設
  • 採掘に必須な加工に要する施設 など
観光資源の有効活用に必要な建築物とは
  • 観光資源鑑賞に必要な展望台
  • 観光価値を維持するために必要な休憩施設
  • 観光客に提供する飲食店、土産物店
  • 観光客が利用する宿泊施設、入浴施設 など

この基準の目的は「鉱物資源及び観光資源の有効活用」を目的としています。鉱物資源と観光資源に理由を関連付ければ何でも許可が降りるわけではなく、直接的に関連性があることを求められます。

4-4 )地域の産業に必要な建築物

市街化調整区域で生産される農産物・林産物・水産物の処理、貯蔵、加工に必要な建築物に関する開発、建築は可能であると基準で定められています。市街化調整区域では農林水産業を営むケースが多く、市街化区域だけの産業発展ではなく周辺の産業発展も都市の発展に重要であるとしています。

地域の産業に必要な建築物とは
  • 畜舎、育種苗施設、集乳施設等、生産や集荷に必要な建築物
  • 堆肥舎、貯蔵施設、器具収納施設など生産資材の貯蔵や保管に必要な建築物
  • 家畜診療に必要な建築物
  • 用排水機、取水施設等農用地の保全や利用上必要な建築物

4-5 )市街化調整区域に既存する工場と密接に関連する施設

この基準では「既存する工場」の運営を守ることを目的としています。市街化調整区域として新たな開発を認めるのではなく、市街化調整区域指定前や許可を得て、現在運営している工場に対して、運営上やむを得ない関連事業者の施設建設を認めますよ。という基準です。

密接に関連するとは

既存の工場との間で「原材料」「生産物の納入や受け入れ」に関して大きく依存する関係があること

とされています。
また、関連する事業所と既存の工場とは別の事業主体であることとされています。つまり自社工場を大きくするために自社関連施設を広げても良いという意味ではありません。
他にも原材料や納品のやり取りが5割以上であることなどの規定を満たした施設である必要があります。
建築可能な場所については、原則既存施設に隣接した場所とされています。

4-6 )沿道サービス施設

都市計画法では国道や県道など、道路の円滑な交通を確保するために適切な位置に儲けられる施設に関しては開発・建築が可能な基準が示されています。

沿道で建築が可能な施設とは
  • 休憩施設(コンビニ、ドライブイン、飲食店など)
  • 給油施設(ガソリンスタンド)
  • 道路管理施設 など

コンビニやガソリンスタンドなどは市街化を促進するものではなく、道路交通を円滑化することで市街化区域の開発も促進されると解釈されています。

4-7 )市街化区域で行うことが困難・不適当な開発

都市計画法では「市街化区域において建築・建設することが困難または不適当な施設」に対して基準内であれば市街化調整区域で建築・建設が可能とされています。

市街化区域において建築・建設が困難または不適当な施設とは
  • 第一種工作物を取り扱う施設
  • 火薬類の製造所

※「第一種工作物」:周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物

これは災害の防止や抑制を目的とした基準であり、市街化調整区域であればどこでも建てられるわけではありません。これらの建築基準はすべて他の法律で定められているため市街化調整区域の審査ではなく法律に従った建設となります。

 

5 )川越市の市街化調整区域

具体的に川越市の市街化調整区域で土地活用を行う場合、どのような取り組みがされているのでしょうか。川越市の都市計画区分や市街地調整区域の開発方針について確認してみましょう。

5-1 )川越市「市街化調整区域」の調べ方

まずは川越市のどこが市街化調整区域になるのかを調べてみましょう。川越市の市街化調整区域を調べるには次のような方法があります。

川越の市街化調整区域を調べる方法
  • 「埼玉県都市計画区域図」を見る
  • 「川越マップ」で調べる
  • MapExperを活用

 

①「埼玉県都市計画区域図」

埼玉県の都市計画区域、非都市計画区域、都市計画区域外について確認することができます。川越市は都市計画区域内になっていることが分かります。
埼玉県のホームページ内においても埼玉県内の都市計画図として、市街化調整区域を見ることは出来ますが、やや見にくさがあります。

埼玉県都市計画図リンク
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1102/toshikeikakuzu.html

 

②「小江戸川越マップ」で調べる

小江戸川越マップは川越市のホームページからリンクできる外部サイトのマップです。川越市のあらゆる地図を確認することができます。
市街化調整区域の判別はやや見づらい点があるものの、用土地や防火地域、ハザードマップなど土地活用に有益な情報が集まっています。

小江戸川越マップ
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1102/toshikeikakuzu.html

 

③MapExpertを活用

MapExpertは色分けや範囲の選び方など使いやすく、見やすい地図です。市街化区域と市街化調整区域だけではなく、用土地など土地活用に関連する情報も多種にわたって簡単に検索できます。ただし情報が最新かどうかの判別が難しく、目安として活用し、最終的には市役所でよく確認したほうが良いでしょう。

MapExpert
https://cityzone.mapexpert.net/TownMap?L=11&N=%E5%9F%BC%E7%8E%89%E7%9C%8C

 

5-2 )浸水ハザードエリア等の開発厳格化

川越市の市街化か調整区域開発の指針として、令和4年4月1日から「浸水ハザードエリア等の開発の厳格化」が示されました。

川越市では近年頻発する自然災害に対応するため開発の審査に関する厳格化が行われています。
市街化調整区域の開発や建築に関する基準として、法第34条に加え、災害レッドゾーン及び浸水ハザードエリアを含む地域では開発ができません。一定の浸水リスクがある区域では開発行為が厳格化されています。

災害レッドゾーンとは
  • 災害時危険区域
  • 土砂災害特別警戒区域
  • 地すべり防止区域
  • 急傾斜地崩壊危険区域

 

お持ちの土地、または購入して開発を予定している土地がこの区域に含まれている場合、開発許可が出ない可能性が高いので注意しましょう。

以下、災害に関する地図や指定をまとめている公式・公認HPをまとめておきますので参考にしてみてください。

「川越市の災害危険区域」
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/anzen_anshin/bousai_jouhou/hazardmap/index.html

「川越市 土砂災害ハザードマップ」
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/anzen_anshin/bousai_jouhou/hazardmap/hazardmap.html

「埼玉県 地すべり防止区域」
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1007/sabo1/shitei-ichiran.html

「埼玉県 急傾斜地崩壊危険区域」
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1007/sabo1/sabo6.html

5-3 )川越市「開発の方針」ポイント

川越市の公式ホームページにて、「市街化区域」と「市街化調整区域」については次のように明示されています。

市街化区域

すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域

市街化調整区域

市街化を抑制すべき区域
原則として農林漁業用の建物や一定規模以上などの計画的開発などを除き、開発行為は許可されません。

市街化区域と市街化調整区域の変化

川越市の市街化区域と市街化調整区域は昭和45年に区分実施から現在に至るまで、ずっと同じではありません。

・昭和54年 霞ヶ関地区等を市街化区域に編入
・昭和60年 川越工業団地を市街化区域に編入
・平成8年 大塚新田地区を市街化区域に編入
・平成11年 整備、開発又は保全の方針の変更、面積計測修正

このように市街化調整区域は都市計画の進展とともに見直されることがあります。頻繁に変遷されるものではありませんが、土地活用において、対象となる地域の将来性を考えておくことが大切です。

 

6 )市街化調整区域で土地活用する際の注意点

市街化調整区域は原則として開発や建築が禁止されている区域です。制限が多い為、購入や計画を進めてから思うように行かない場合もあります。
ここでは市街化調整区域で開発や建築を考える際に注意点について説明します。

6-1 )土地価格の理由を調べる

安くて立地の良い土地を見つけた場合、そこが市街化調整区域であったということはよくあります。市街化調整区域と言っても対象となる土地と周辺の状況によって活用できる条件が変わってきます
例えば、近隣の市街化調整区域にコンビニが建っているからといって、購入した土地にコンビニ建設の許可が下りるとは限りません。

市街化調整区域で開発や建築を行うには
  • 誰が建てるのか
  • 誰が使うのか
  • 周辺にどれくらい人が住んでいるのか
  • 道路など都市計画に影響するものはあるか

など、さまざまな条件を満たす必要があります。

市街化調整区域を購入する際は価格や広さだけで考えるのはとても危険です。購入前に、なぜ安いのか、どのようなことに使える土地なのかということを事前に確認しておくことが大切です。

6-2 )開発・建築前に要チェック!

市街化調整区域では原則として開発や建築が禁止されています。事業や家の建て替え、リフォームなどを計画する際は許可がでるかどうかを慎重に調べる必要があります。計画を進めてから開発許可が出なかった場合、途中で計画が中止になることもあります

最低限確認しておくこと
  • 地目が目的と合っていない場合転用手続きが必要
  • 都市計画法34条と市区町村が示す審査基準を満たす
  • 災害区域など開発が禁止されていない区域であること

実際の申請と審査の手続きにはかなりの手間と労力がかかります。土地活用できるかどうかの判断基準として、最低限上記3点については確認しておきましょう。

6-3 )市街化調整区域で発生しやすい初期費用

市街化調整区域は原則開発が禁止されている区域として発生する費用に特徴があるので注意しましょう。土地の安さだけで購入してしまうと後から大きな費用が掛かってしまうことがあります。

市街化調整区域で注意すべき費用
  • インフラ整備費用
  • 既存建物の撤去費用
  • 整地費用

①インフラの整備費用

市街化調整区域では電気・ガス・上下水道などのインフラ設備が整っていない場合があります。土地の費用が安くても生活に必要なインフラを敷地に用意する費用が発生することがあります。市街化調整区域を購入する際は生活に必要なインフラが整っているかどうかも確認しましょう。

②既存建物の撤去費用

市街化調整区域では新たな開発・建築が原則禁止されています。そのため購入する場合は古い建物を撤去しなくてはならないことがあります。購入費用が安くても、既存建物のメンテナンス費用、建て替え費用などを考えた場合、大きな費用が必要となる場合もあります。既存の建物がある場合は、メンテナンスや撤去費用も考慮して検討するするとよいでしょう。

③整地費用

開発・建築する土地が林や沼地、農地だった場合、整地する必要があります。整地に関してはどこまでするのかという規模にもよります。とりあえず建物を建ててもよい基準の整地にすることもできますが、地面に大きな木の根や石などが多く埋まっていると、数十年後に土地が傾いてしまうこともあります
宅地として開発されていなかった土地を購入するということは、宅地用に整地する費用が必要であることを覚えておきましょう。

7 )市街化調整区域の土地活用例

市街化調整区域で土地活用

市街化調整区域は、通常の市街化区域と比べて開発や建築の制限が厳しいものの、特定の条件を満たすことで様々な土地活用が可能です。ここでは、具体的な活用例について説明します。

7-1 )住居の建て替え

市街化調整区域内での住居の建て替えは、その土地で住み続ける人にとっては大切なことです。市街化調整区域では、家族の世代交代や住環境の改善を目的とした建て替えを許可する基準があります。古い家屋を新しい耐震性の高い住宅に建て替えることで、住環境の安全性と快適性を向上させることができます。

注意ポイント

市街化調整区域の建て替えは区域内どこでも同じ条件ではありません。概ね50以上の住宅がある集落などの条件や、市区町村の審査基準にも違いがあるので確認が必要です。

7-2 )福祉施設

市街化調整区域に福祉施設や医療施設などの建築が可能であるという基準があります。例えば、老人ホームやデイサービスセンター、障がい者支援施設などが含まれます。これらの施設は、公共の利益に資するものとされ、地域社会の福祉にも貢献することができます。また福祉施設は他の商業施設等より経営が安定しやすく、長期的な土地活用という視点で取り組みやすい事業の1つです。

注意ポイント

福祉施設など公共の施設は自由に建てることは出来ません。建てるには県や市区町村など、福祉事業を統括する自治体等の認可が必要になるものが多いので注意しましょう。

7-3 )駐車場や資材置き場

市街化調整区域では、駐車場や資材置き場としての利用も可能です。これは、特に都市部に近い区域で、商業施設や工場などの従業員用駐車場や物流拠点としての資材置き場が必要とされる場合に有効です。広い敷地が確保できれば、大型車両の駐車場や大量の資材保管に適しています。

注意ポイント

駐車場や資材置き場は初期費用も安く取り組みやすい活用方法ですが、需要の見込みについてよく検討する必要があります。例えば市街化調整区域は住民が少なく、広い土地が多い傾向ですので、駐車場を作っても利用者が集まらない可能性があります。地域にどのくらい需要があるかをよく確認しましょう。

7-4 )太陽光発電

市街化調整区域は、自然環境が豊かで広い土地が確保しやすいため、太陽光発電の設置に適しています。再生可能エネルギーの普及を促進するために、太陽光パネルを設置して発電事業を行うことができます。例えば、農地や山林を利用して大規模なソーラーファームを設置し、発電した電力を地域に供給することが可能です。

注意ポイント

太陽光発電は初期投資費用に加えて利益が小さく、本質的な利益が出るまでには時間のかかる特徴があります。また最近ではケーブルなど設備の盗難事件も多くなっているため防犯に備えるなど、長期的な経営を考えておきましょう。

7-5 )ロードサイド店舗

市街化調整区域でも、主要道路に面した場所ではコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファーストフード店など、いわゆるロードサイド店舗の開設が可能です。交通量の多い道路沿いに立地することで、通勤・通学途中の利用者や観光客をターゲットに商業活動を展開できます。

注意ポイント

ロードサイド店舗は交通量に依存する特徴があります。近隣に大きな道路や大型商業施設などが建ち、交通量が変わってしまうと、店舗の売り上げにも大きな影響が出ます。ロードサイド店舗を考える際は近隣の開発計画についても良く調べておきましょう。

 

8 )まとめ

川越市は観光や農産物をはじめ、さまざまな資源があります。まだまだ有効活用されていない市街化調整区域も多くあります。

市街化調整区域は都市計画を効率的に促進していくために、原則として開発や建築が禁止された区域です。しかし、すでに住んでいる人や市街地に住む人たちに対する利便性や市街化区域の開発の妨げにならないものに関しては基準が設けられ、開発が可能な事業があります。

市街化町営区域の土地活用ではさまざまな条件の違いがあります。目的の活用方法が実行可能であるか、条件を満たすことができるかどうかということはよく確認することが大切です。

市街化調整区域は、地域の特性や条件を満たすことで活用の可能性を広げることができます。