田舎の空き家・空き地を放置するリスクとは?有効活用の秘訣を徹底解説!
はじめに
親から相続した田舎の土地。どうしたらいいかわからず放置していませんか?「空き家問題」や「土地活用」という言葉を耳にしたことはあるのではないでしょうか。実は空き家や空き地を持っているだけでリスクがあります。リスクを知り、どのような行動をするかが大切です。
この記事では空き家や空き地を放置するリスク、対策や活用方法の秘訣についてまとめています。この記事を読めば空き家や空き地のリスクとその対策、活用方法のアイデアとヒントを得ることができます。
土地や家屋を相続された方、これから空き家などの不動産を取得して活用を考えている方は参考にしてみてください。
目次
1-1 )空き家や空き地のトラブル
1-2 )手間
1-3 )費用
2 )空き家・空き地のリスクへの対処法
2-1 )空き家・空き地のリスク【3つの対処法】
2-2 )土地活用のメリット
2-3 )土地活用のデメリット
2-4 )立地に合った土地活用の選び方
3 )空き家・空き地の地目を確認
3-1 )なぜ地目の確認が必要?
3-2 )地目は23種類ある
3-3 )地目の確認方法
3-4 )地目の確認方法
4 )調整区域か市街化調整区域か
4-1 )市街化区域の特徴
4-2 )市街化調整区域の特徴
4-3 )田舎で注意すべき市街化調整区域のポイント
5 )立地確認のポイント
5-1 )市街地へのアクセス
5-2 )大きな道路沿い
5-3 )大規模施設が近い
6 )田舎の土地活用:成功事例
6-1 )農地転用し高齢者施設
6-2 )古民家をリノベーションして飲食店や宿泊施設に
6-3 )地域特産品販売所を運営
7 )田舎の土地活用:失敗事例
7-1 )アパート建設後過疎化で入居者減
7-2 )駐車場事業の需要不足
7-3 )太陽光発電で初期費用回収が困難
8 )まとめ
1 )空き家・空き地を放置するリスク
空き家や空き地は資産として活用することもできますが、持っているだけでさまざまなリスクを抱えることにもなります。まずはどのようなリスクがあるのかを確認しておきましょう。
1-1 )空き家や空き地のトラブル
空き家や空き地を放置しておくと次のようなトラブルが発生する可能性があります。所有者はこれらを未然に防ぐ対策と、問題が発生したときの対応を行わなければなりません。また、トラブルの内容によっては法的な責任を負わなければならないこともあります。
①家屋の倒壊
家屋はメンテナンスを行わないと劣化していきます。劣化した家屋は一部が吹き飛ばされたり、最悪の場合倒壊したりする恐れがあります。周辺の人や物に被害が及んだ場合は重大な責任が生じます。
②火災
空き家は劣化した電気器具や配線からの出火や放火による火災のリスクがあります。火災は周囲の土地や建物にも燃え移る可能性があります。地域に迷惑がかかるだけではなく、不安に感じる近隣住民から苦情が来ることもあります。
③不法投棄
空き家や空き地は不法投棄の温床となりやすい場所です。人の出入りが少ない場所はゴミが捨てやすい場所として認識されてしまいます。ゴミの投げ捨てだけではなく、家具・家電などが捨てられることもあります。
④獣害、虫害の発生
家屋の劣化や草が伸び放題の土地は動物や虫にとって快適な住処となります。長期間放置することで増殖し、臭いや衛生面、虫の大量発生による苦情などが起きやすくなります。
⑤特定空き家の指定
劣化した空き家を放置していると、空き家対策特別措置法による「特定空き家」に指定されます。メンテナンスなどの対応を迫られる他、最悪の場合は強制代執行による取り壊しとその費用の負担が発生することもあります。
⑥負の遺産を継承
空き家や空き地は持っているだけではお金にはなりません。逆に固定資産税や維持費用が出ていきます。売ればお金になりますが必ず売れるというわけでもありません。長年放置した結果、取り壊し費用が掛かるだけの負の遺産として子供たちに遺すことにもなります。
1-2 )手間
田舎の空き家や空き地を放置すると、維持管理に多くの手間が発生します。具体的な作業内容や、それらが生じる理由について次のようなことがあります。
①草刈り
草刈りは、景観を保つためだけでなく、害虫や害獣の発生を防ぐ重要な作業です。また、雑草は放置すると根や種で繁殖範囲を広げていき、建物の劣化も早めます。特に夏場は雑草の成長が早いためきれいな状態を維持していくのは大きな労力が必要です。
②掃除
建物の屋内は掃除をしないとカビや虫が繁殖し、建物の劣化を早めます。また、落ち葉などの自然発生的なゴミや、投げ捨てや不法投棄などによるゴミの片づけが必要な場合もあります。
③家屋の維持
家屋がある場合は屋根や外壁の修繕、防虫処理など建物を維持する手間が発生します。ドアや窓が破損すればそれらを修繕する必要もあります。メンテナンスを行わなければ建物の維持は難しく、倒壊や飛散による近隣への影響も考える必要があります。
④苦情の対応
空き地や空き家の管理が不十分だと近隣住民からの苦情が発生することがあります。使っていなくても不動産の所有者としての責任はあります。放置しておくと近隣住民との関係の悪化や行政指導を受けることもあります。
⑤諸手続き
不動産を所有しているため固定資産税などの納付が必要です。また、管理業務の委託といった手続きなどが生じる場合もあります。これらの諸手続きは手間がかかるだけでなく、適切に行わないと法的な問題に発展することもあります。
1-3 )費用
空き家や空き地を持っているだけで発生する費用があります。不動産を所有していると避けることのできない費用には次のようなものがあります。
①維持管理費用
空き地や空き家の維持には、草刈りや掃除に必要な道具の購入費用が発生します。また、不用品の廃棄や害虫駆除などの作業を業者に依頼する場合、それに伴う費用も増加します。これらの費用は継続的に発生し、負担が大きくなることもあります。
②建物のメンテナンス費
建物がある場合、屋根や外壁の塗装・補修は最低限必要です。また地域や築年数によっては防虫・防獣対策が求められる場合もあります。特に築年数の古い物件では、雨漏りや外壁の劣化が進みやすく、修繕費用が高額になることも少なくありません。
③税金
空き家や空き地を所有していると、固定資産税や都市計画税がかかります。これらの税金は、利用していなくても毎年発生します。特に建物が老朽化し価値が下がっても税額が減少しない場合もあり、所有するだけで大きな負担となることがあります。
2 )空き家・空き地のリスクへの対処法
空き家や空き地を放置するとどのようなリスクが発生するのかはお分かりいただけたかと思います。リスクへの対処法は土地活用だけではありません。それぞれのメリット・デメリットを比較して自分がどうしていきたいのか?という目的を明確にすることが大切です。
2-1 )空き家・空き地のリスク【3つの対処法】
空き家や空き地のリスクを回避するためには必ずしも「土地活用」だけが答えではありません。土地活用もビジネスとしての活動が必要ですので、そうした取り組みが難しい場合は他にも選択肢があります。代表的なリスクへの対策は次の3つの方法があります。
①土地活用して収益化する
空き家や空き地を活用して事業を行い収益化する方法です。例えば、空き地を駐車場や賃貸住宅として運用することで安定した収益を得られます。空き家であればリノベーションを行い、民泊やカフェとして再利用するケースも増えています。
②売却する
土地活用や維持が難しい場合は売却してしまうという選択肢もリスクへの大切な考え方です。手放してしまえば所有するリスクからは解放されます。ただし、どんな土地でも必ず売却できるわけではないことや、現金化することで親族内でのトラブルが発生するなど、また違ったリスクへの配慮も必要です。
③維持しやすい状態に整備する
ビジネスや売却など、金銭的にプラスになることが正解とは限りません。例えば月極駐車場や貸農園にしたり、いっそのこと立て直して自分達が住んだりという選択肢もあります。
リスク対策は金銭面だけではなく、広い視点で考えることも大切です。
2-2 )土地活用のメリット
空き家や空き地を放置するリスク対策として、土地活用した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
空き家や空き地で土地活用すると、次の3つのようなメリットがあります。
①収益を生む
空き家や空き地を商業的に利用することで、手間と費用のリスクを軽減することができます。また、適切に運用することでトラブルのリスク回避にもつながります。商業的に収入を得られれば、維持費用を補填できるだけではなく、不動産を資産として運用ができるようになります。
②資産価値の維持・向上
空き家や空き地を適切に活用することで、劣化やトラブル発生のリスクが軽減されます。商業的な利用をされることで環境の維持・保全もしやすくなり、資産の劣化を防ぎます。また、きちんと収益を得られるように運営することで不動産の価値を高めることにもなります。
③地域への貢献
空き家や空き地を商業的に利用するということは、ただ放置するリスクを減らしたり、収益化したりということだけではありません。健全に維持管理ができることや地域の利便性が高まるという点においても、その土地が関与する地域へ貢献できるというメリットも発生します。
2-3 )土地活用のデメリット
土地活用ではもちろんメリットだけではありません。デメリットにも気を付ける必要があります。メリットとデメリットを比較し、合わないのであれば、売却や上手に維持する方法を選択したほうが良いこともあります。土地活用の主なデメリット3つにまとめたので確認しておきましょう。
①費用がかかる
土地活用では整備や新たな商業用建物の建築など、初期費用が掛かります。事業の規模によりますが、最低でも数百万円規模など、決して少ないとは言えない額のお金が動きます。そもそもの話として、必要な初期費用を用意できなければ、最適な活用方法があっても実行できません。
②運営管理の手間
活用方法によっては、運営や管理が大きな負担になる場合があります。管理委託することも可能ですが、それでも業者選びや契約の更新などの手間は生じます。オーナーとして裁量したいのであればそれなりの労力と責任が必要です。
③ビジネスリスクがある
空き家や空き地を商業用として利用するのであれば、必ずビジネスリスクがあります。ビジネスの方向性はオーナーが最終的には判断する必要があります。ビジネスとして取り組む以上、安定した活用方法であっても失敗する可能性はゼロではないことを理解して取り組み必要があります。
2-4 )立地に合った土地活用の選び方
土地活用を行う際は、自分のやりたいことを優先するのではなく、立地の特徴や周辺地域の状況を把握することが大切です。例えば人がほとんど住んでいない山間部でアパートを建てても入居者は集まらないでしょう。
また、土地活用する目的を明確にすることも大切です。立地が大きなビジネスに適していても、手間なく維持していきたいという目的であればその目的にあった活用を選択しましょう。
3 )空き家・空き地の地目を確認
空き家や空き地を活用するのか、維持するのか。いずれにしてもその土地のことを知ることはとても大切です。まずは地目について確認してみましょう。
3-1 )なぜ地目の確認が必要?
地目を確認する理由は、土地活用の可能性や制約を明確にするためです。地目の役割とポイントについて理解しておきましょう。
①地目で価値が変わってくる
持っている土地の地目を確認しておくことは、その土地の持つ価値を知る第一歩です。例えば田・畑など農業用地は同じ広さの宅地に比べて価値は低く、また売却にも制限があります。
自分の持っている土地の地目を知ることで、活用可能な方向性を見極めることになります。
②用途の制限がある
日本の国土は地目によって使い道が制限されています。もし違反した場合は法的処置の対象となります。例えば、「農地」の場合は農業以外の用途には原則として使用できず、転用には許可が必要です。一方、「宅地」ならば住宅や店舗の建設が可能です。
③地域と産業を守る役割
地目は健全な産業、地域社会を作る役割があります。例えば食料を生産するための田んぼや畑が集まるところで住宅地や工場が建ってしまうと、農業用の水が生活排水や工場排水と混ざることになってしまいます。そのため、地目に反した建築や活用は行うことができません。
3-2 )地目は23種類ある
日本の土地の地目は登記簿上で「23種類」に分類されています。
田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地
一般的に関わりのある地目は田・畑や宅地などごく一部ですが、昔からの地主家系で、親から相続した土地を確認してみると以外な地目で登録されていることもあります。それぞれの地目に応じた制限が定められていますので、登録された地目を確認することが大切です。
3-3 )地目の確認方法
地目を確認する最も基本的で確実な方法は、法務局で登記簿謄本を取得することです。登記簿謄本には、その土地の地目だけでなく、所有者や土地の面積など、土地に関する詳細な情報が記載されています。
登記簿謄本を取得することで、土地活用の計画に必要なデータを把握でき、後々のトラブルを未然に防ぐことが可能です。
登記簿謄本の取得手続きは以下の3つの方法があります。
①法務局に訪問する
土地が所在する地域を管轄する法務局へ直接訪問し、直接登記簿謄本を取得できます。窓口で土地の所在地を伝えると、対応してもらえます。
②オンライン申請を利用する
土地が所在する地域を管轄する法務局へ、必要書類を揃えて郵送することで、法務局から郵送で登記簿謄本を取得する方法もあります。
③法務局へ郵送する
土地が所在する地域を管轄する法務局へ、必要書類を揃えて郵送することで、法務局から郵送で登記簿謄本を取得する方法もあります。
3-4 )田舎に多い地目の特徴
田舎の空き家や空き地には、特定の地目が多く見られる傾向があります。これらの地目にはそれぞれの特徴や制約があり、土地活用を進めるうえで把握しておくことが大切です。
田舎で宅地以外の土地でよくみられる地目は次の3つです。
①農地(田・畑)
田舎では農地が広範囲に広がっており、多くの空き地が「田」や「畑」として登記されています。これらの土地を農業以外の用途に利用する場合、農地法の規制を受けるため転用の手続きが必要です。
②山林・原野
田舎には利用が進んでいない山林や原野も多く存在します。山林は木材生産や自然保護の観点から価値が見出される一方、原野は放置されていることが多く、利用するためには整備が必要です。山林や原野は活用が難しいように思われますが、資源活用や観光地開発の可能性を秘めているという特徴があります。
③雑種地
雑種地は、農地や山林、宅地のどれにも該当しない特殊な地形や用途の立地です。例えば駐車場や資材置き場になっていることが多い地目です。この地目は比較的柔軟な活用が可能ですが、建物の建築には制限があり、具体的な利用計画を立てる際には目的の活用方法が可能かどうかを確認する必要があります。
4 )調整区域か市街化調整区域か
土地活用を考える際に「調整区域」または「市街化調整区域」に指定されているかどうかを確認することも大切です。地目同様に、これらの区域によって、建築や利用目的に制限があります。利用計画を立てる前に十分に理解しておく必要があります。
4-1 )市街化区域の特徴
市街化区域とは、都市計画法に基づいて指定された区域の一つで、都市的な土地利用を促進することを目的としています。この区域は、住宅地や商業地、工業地などとして開発を進めるためのエリアであり、新しい建築物の建設や開発が比較的自由に行える特徴があります。
活用したい土地が市街化区域の場合、次のような特徴があります。
①開発の自由度が高い
市街化を推進する方針のもと、新しい住宅や店舗、施設の建設がしやすい区域です。開発許可も比較的取得しやすい環境が整っています。土地活用の際には制限が少なく、いろいろな事業に取り組みやすい特徴があります。
②インフラが整備されている
道路、水道、電気、下水道などの都市インフラが整っている場合が多い区域です。人が住みやすい環境や集まりやすい環境が整っています。住宅や商業施設などのサービス関連の事業に向いている立地です。
③地価が比較的高い
市街化区域の土地は需要も高い傾向で、商業的にも利用しやすい特徴があります。そのため土地の価値も高くなります。市街化区域の場合は土地活用の際にも利益を生みやすく、売却する際にも買い手が見つかりやすいなど、需要が高い土地です。
4-2 )市街化調整区域の特徴
市街化調整区域とは、都市計画法に基づき、無秩序な市街化を防ぐために設定された区域とされています。例えばどこでも家を建ててよいとすると、数人しか住んでいない地域に道路や水道管を引く必要が出てしまい、インフラの整備が非効率になります。また、必要な施設も点在しやすくなり、かえって住みにくい街になってしまいます。住みよい街にするために「この区域は基本的に開発しませんよ」というのが市街化調整区域です。
市街化調整区域の主な特徴は以下の通りです。
①新たな開発が制限される
市街化調整区域内では新築や開発が原則として禁止されており、特別な許可がなければ建物の建設や土地の用途変更を行うことはできません。ただし、地域住民の生活に必要な住宅や施設については、一定の条件下で許可が下りる場合もあります。
②農地や自然環境の保護が優先
農業や林業の維持、自然環境の保護が重視されており、土地利用に関して厳しい規制が課せられています。そのため、土地活用の自由度は低くなりますが、逆に言えば自然などの観光資源が豊富な場合もあります。
③インフラ整備の費用がかかる
市街化を進めない方針のため、水道や道路、下水道などの都市インフラが整っていない場合があります。事業を進める場合にはインフラが整っていないため、自費でインフラを整えるなど費用が大きくなってしまう場合もあります。
4-3 )田舎で注意すべき市街化調整区域のポイント
所有している土地が市街化調整区域の場合は、どのような土地活用が可能なのかを調べることが大切です。市街化調整区域で可能な建築や事業に関しては自治体が判断することが多いため、事前によく確認しましょう。
市街化調整区域だったからと言ってハズレなわけではなく、価格の安さや自然環境の良さ、住宅が少ないからこそ行える事業などの強みもあります。
事前に開発可能な条件を調べ、土地の特性を活かした活用方法を検討するようことが大切です。
5 )立地確認のポイント
空き家や空き地の活用を成功させるためには、立地条件をしっかりと確認することが大切です。具体的にどのようなことに気を付けて立地を確認したらよいポイントを押さえておきましょう。
5-1 )市街地へのアクセス
市街地へのアクセスが良い土地は、需要が高くさまざまな土地活用に有利です。まずは空き家や空き地が市街地からどのような位置にあるのかを確認してみましょう。
- 市街地の中
- 市街地に隣接している
- 市街地から離れている
市街地は多くの人が集まる場所です。学校や仕事の関係上賃貸住宅やテナント、駐車場と利用価値など、様々な活用方法が考えられます。
市街地の中でなくても、市街地に隣接している場所や市街地と行き来しやすい場所も利用価値が高く、さまざま需要が見込めます。
市街地から遠く離れている場合でも、活用できないわけではありません。資材置き場やキャンプ場、イベント施設や宿泊施設など市街地から離れていることに強みがある活用方法もあります。
まずは所有している土地と市街地との距離関係を確認し、どのようなことに向いている土地なのかを確認してみましょう。
市街地の土地活用例
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賃貸住宅全般
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駐車場
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テナント全般
5-2 )大きな道路沿い
市街地に次いで人の流れが多いのが、交通量の多い大きな道路です。市街地に遠くても、主要道路や高速の入り口が近い、交通量の多い道路に面している土地は、多くの人々に目に留まりやすく、交通の利便性が高いのでさまざまな分野で需要が高い特徴があります。
- 交通量の多い国道や県道に面している
- 車が出入りしやすい場所に位置している
- 近隣に住宅街がある
交通量の多い場所に面していることでコンビニや量販店、いわゆるロードサイド店舗の需要が高くなります。また、大きな車が通りやすいという特徴もあるので、十分な広さがあれば資材置き場や配送業などにも需要があります。十分な広さがなくても野立て看板など広告に活用することもできます。
注意したいポイントは、車が出入りしやすい場所にあるかどうかです。例えば非常に交通量の多い国道五差路に面している場合、出入りがしにくいので頻繁な出入りを想定した活用方法は向いていない場合があります。
近隣に住宅街があれば車での来店だけではなく徒歩での来店も見込める可能性があります。
所有している土地が大きな道路に面している場合は交通量と、近隣に何があるのかを確認してみましょう。
道路沿いの土地活用例
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ロードサイド店舗
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資材置き場
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車・バイク関連の事業
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野立て看板
5-3 )大規模施設が近い
周辺に大型ショッピングモールや公共施設、観光地がある土地は、地域の特徴を上手く活用することで高い収益を生む可能性があります。
- 利用者がたくさん訪れる施設
- 職員がたくさんいる施設
- 長期間その状態が変わらない
近くに大きな施設がある場合、土地活用の需要が高い可能性があります。ここで言う大きな施設とは、ショッピングモールのような大型商業施設、大型物流センター、市役所、大学病院などの施設です。大きいといっても体育館や保健センターなどの建物だけが大きい場合は人の流れが少ないこともあるので注意しましょう。
ショッピングモールのような場所は買い物客が多く行き来し、市街地との間に所有地があれば人の往来が期待できます。
市役所やビジネスビル、物流センターなど職員数が多い施設であれば、定期的な人の流れが期待できます。
注意したいポイントは、人の流れが施設の影響力であることです。移転や倒産、ライバル店の登場により人の流れが変わることもあります。このような土地では将来の変化も考慮しておくことが大切です。
大規模施設付近の土地活用例
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コンビニ
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量販店
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コインパーキング
6 )田舎の土地活用:成功事例
田舎にある空き家や空き地の成功事例をご紹介します。ここでは「田舎の土地」ということで繁華街やロードサイドではなく、人通りの少ない田舎としての地域を想定した活用での成功事例として参考にしてみてください。
6-1 )農地転用し高齢者施設
耕作放棄地などの空き地を農地転用で宅地にし、高齢者施設を建設した事例です。田舎では特に高齢化率が高く、こういった高齢者施設の需要が高い傾向があります。
事業としては、高齢者が多い地域であればよいというものではなく、大きな施設になるほど職員の数や駐車場の確保なども必要であるという視点も大切です。
高齢者施設は近隣住民との関係性も大切で、施設運営への理解や協力が必要な面もあります。そういったことからも住宅と隣接していない広い土地があれば、一定の距離感があるので理解も得られやすくなるという利点も考えられるでしょう。
6-2 )古民家をリノベーションして飲食店や宿泊施設に
築50年以上の古民家をリノベーションし、観光客向けの宿泊施設に転用した事例です。古き良き日本の雰囲気を残しつつ落ち着く雰囲気と快適な設備を整えたことで、国内外の観光客から高い評価を得ています。
古民家の活用方法としては、カフェ、ラーメン店、蕎麦屋、民宿など地域や田舎らしさを強調したコンセプトになります。
お店を持ちたい人にとっては初期費用を抑えられますし、古民家という個性も同時に得ることができます。観光資源や人の行き来する場所であることなど立地の確認が重要です。
6-3 )地域特産品販売所を運営
農地近くの空き地を利用して、地元農家の特産品を販売する直売所を設置した事例です。地元住民の買い物スポットとして利用されるだけでなく、観光客にも人気のスポットとなり、地域の経済発展につながります。
地元農家との関係性をつくる必要があります。もともと農家だったり、古くからの関係性があったりすれば活かすことができます。特徴のある野菜、鮮度と品質の高さ、量販店より安さなど直売店の強みが成功のポイントです。
7 )田舎の土地活用:失敗事例
7-1 )アパート建設後過疎化で入居者減
建築時には近隣の大学の学生などの需要があったが、少子化で学生が減少。また、新しい賃貸がたくさん建てられて競争が激化した結果、入居者が減少してしまった。
賃貸需要を近隣の学校や商業施設などに頼っている場合は需要の変化に注意が必要です。事例のように少子化しても高齢者向けに方向転換できるかなど柔軟な対応を考得ておくことが大切です。
また、賃貸でもさまざまな形態があり、需要も変化しています。地域の需要が変化しても、「ここが良いから住みたい」と思えるような差別化ができれば大きな強みとなります。
賃貸差別化の例
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ガレージハウス
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戸建て賃貸
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デザイナーズ賃貸
7-2 )駐車場事業の需要不足
空き地を月極駐車場にしたものの、周辺に駐車需要がなく利用者がほとんどいない状態に。需要の見込み違いが原因で、活用計画の甘さが露呈した事例です。
田舎の場合土地があるので自宅に駐車場を確保できる場合が多くあります。また、近隣の駐車場が埋まっているからと言って需要が高いわけではなく、古くからの付き合いなどもあり、新しい駐車場ができても需要が伸びないということもあります。
駐車場だからといって油断せず、ライバルの調査や差別化を考えておくことが駐車場経営でも大切です。
駐車場差別化の例
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アスファルト舗装の駐車場
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カーポート付き駐車場
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シャッターガレージ付き駐車場
7-3 )太陽光発電で初期費用回収が困難
空いている田畑に太陽光パネルを設置して、発電した電気を売却することで長期的に利用することで利益を得る活用方法です。利益は大きくないので太陽光パネルと設置の費用を長期的に返済しながら少しずつ利益を上げていき、初期費用返済後は利益が出続けるという考えでいました。しかし実際は草刈りなどの管理の手間、機器の故障や点検などの費用がかかり、思うように利益が出なかったというのが失敗の内容です。
太陽光発電においては安定的に発電ができることと、安定した価格で買い取り続けてくれることが大前提です。しかしこれらが継続する保証はありません。太陽光発電は他の土地活用に比べて手間が少なく安定性が高い特徴がありますが、変化へのリスクも考えておくことが大切です。
太陽光発電のリスク
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機器の故障や盗難のリスク
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電力の買取価格の変化
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維持費の高騰
8 )まとめ
空き家や空き地は放置することで生じるリスクがあります。リスクを回避し、価値ある資産へと変えるためには、適切な計画と判断が必要です。特に田舎の土地活用には、地域特有の課題や特性があり、それに見合った活用方法を選ぶことが大切です。
土地活用にはさまざまな選択肢があります。事業に活用するだけではなく、売却する、自分で済むなども選択肢の一つです。どの方法を選ぶにしても空き家や空き地をご自身がどうしたいのか、目的を明確にすることが成功の鍵となります。
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