【超初心者向け】相続税対策で土地活用の必要性について分かりやすく解説
はじめに
相続税対策を考えているんだけど、調べてみたら難しい用語ばかりでよくわからない。とお困りではありませんか?
この記事では相続税対策と土地活用について全く知識のない人でも分かりやすいように解説しています。
実は相続税対策は難しい用語を整理するだけでとっても分かりやすくなります。相続税について基本的な用語の意味や考え方が分かれば、どのような土地活用をしたらいいのかが分かるようになります。
今回は相続税対策として土地活用が必要なのかどうか、どのような土地活用を考えていけばよいのかということの基礎をまとめ、全く知識のない方でも分かりやすいように解説しています。
これから相続税対策を考えたい人は参考にしてみてください。
目次
1-1 )相続対策とは
1-2 )基礎控除額で相続税の有無を知る
1-3 )相続税対策とは
2 )土地の価格を表す5つの評価
2-1 )実勢価格
2-2 )公示価格
2-3 )固定資産税評価額
2-4 )相続税評価額
2-5 )路線価方式と倍率方式
3 )土地の価格を変える4つの要素
3-1 )間口の広さ
3-2 )崖や傾斜
3-3 )土地の形状
3-4 )広すぎる土地
4 )基本的な3つの相続税対策
4-1 )現金を土地に変える
4-2 )土地活用で相続税評価額を下げる
4-3 )小規模宅地等の特例を使う
5 )相続税対策に土地活用する際の注意点
5-1 )事業を起こすならしっかりと計画する
5-2 )専門家のアドバイスを受ける
5-3 )1人で決めない
6 )まとめ
1 )相続対策と相続税対策は分けて考える
少しでも財産があれば相続税対策が必要だと思っていませんか?実はほとんどの人に相続税対策は必要ありません。まずは相続税対策とは何なのか?ということから確認していきましょう。
「相続対策」と「相続税対策」を混同してしまっている人が多いので、まずは相続対策について解説していきます。
相続税対策 = 「相続の際に発生する税金に関する対策」
相続対策 = 「相続に関して家族が困らないようにする対策」
1-1 )相続対策とは
相続対策では財産などの相続によって家族同士が争ったり、手続きで困ったりしないように以下のようなことに注意して対策を行います。
- 財産の分配方法をどうする?
- 借金をどうする?
- 相続税をどうやって支払う?
①財産の分配方法をどうする?
財産の分配方法は遺族が最も争う要因です。
財産を相続する人やその配分については基本的に法律によって定められています。もし特定の人に多く財産を残したい場合など法律と違う分配を行いたいのであれば、生前に法的に有効な方法で遺言を残すことで変えることもできます。
②借金をどうする?
相続とは財産だけではなく借金も一緒に引き継ぐことになります。借金が残っている場合は生前に処分するのか、死後は土地などの資産を売却して返済に充てるかなども考えておかなければなりません。
③相続税をどうやって支払う?
相続税は現金一括払いとなるので、相続税が発生する場合はその支払い方法についても考えておく必要があります。
例えば価値の高い土地をたくさん持っている場合はそれに応じた現金が必要です。支払える現金がないのであれば土地を売却するなどして現金を作らなければなりません。
1-2 )基礎控除額で相続税の有無を知る
相続税対策は相続税が発生する人が行う対策です。
相続税には基礎控除というものがあります。基礎控除額を超えない場合は相続税を支払う必要はありません。
①相続税の基礎控除額を計算する
相続税の基礎控除
3000万円 + (受取人数 × 600万円)
例えば、一家の父親が亡くなり、母親と2人の子供の合計3人が相続する場合
3000万円 + (3人 × 600万円) = 4800万円
4800万円が基礎控除額となり、この金額以下であれば相続税はかかりません。
②相続財産を計算する
相続する財産には以下のようなものがあります。
- 現金
- 預貯金
- 有価証券
- 宝石
- 土地
- 家屋や建造物
- 貸付金
- 特許権
- 著作権
- 金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべて
これらの財産の合計から「借金」と「葬式費用」を差し引いた金額が相続の対象となる財産です。
③相続税見積もりの注意点
相続税の見積もりでは財産を正しく把握することが大切です。財産の中には価値が分かりにくいものがあります。
現金以外のほとんどの財産については時価として金額が変動します。実際に所有者が死亡した時点で価値が値上がりしていると相続税が発生してしまうことがあるので注意が必要です。
持っているのは多少の預貯金と、どう考えても3000万円以下の不動産程度であれば相続税はかからないと思われます。
ただし開発などによって土地の価格が変動する可能性がある場合は地価の変動に注意しておきましょう。
1-3 )相続税対策とは
相続税対策とは「相続の際に発生する税金に関する対策」のことです。
相続する財産が基礎控除額を超えた場合には相続税が発生し、以下のような対策が必要になります。
- 相続税を支払うために現金を作る
- 相続税評価額を下げて相続税を回避する
- 土地活用を利用して相続税を安くする
①相続税を支払うために現金を作る
相続税の支払いは現金一括払いとなります。現金や預貯金以外の財産を持っている場合で、相続税に相当する現金が用意できない場合は財産を売却して現金を用意する必要があります。
現金や預貯金以外の財産は価値が変動するのでどのような形で残しておくべきか、という点でも対策が必要です。
②相続税評価額を下げて相続税を回避する
相続税は基礎控除額を超える場合に発生します。相続する財産が基礎控除額をギリギリ超えている場合などは評価額を下げることで相続税の発生自体を回避することができます。
相続税において財産は全て一律に評価されるわけではありません。例えば現金1億円と1億円の土地では評価額は変わってきます。土地の活用方法によっても控除額は変わってきます。
こうした方法を用いて相続税評価額を下げることで相続税の対象にならないという対策です。
③土地活用を利用して相続税を安くする
相続税の対象となる財産の大半を占めるのは土地や建物などの不動産です。
不動産は用途によって生活や社会活動に欠かせず、相続税として徴収されてしまうと困ってしまいます。そのため現金や他の財産より優遇され、活用方法によって控除額も変わってくるという性質を持っています。
土地の評価額を下げれば財産全体の金額が低くなるので相続税も安くなります。
使っていない土地をただ相続するのではなく、何らかの活用方法を見つけて収益性や資産価値を生んだり、相続税評価額を下げたりするなどの効果を模索するのが土地に対する相続税対策です。
2 )土地の価格を表す5つの評価
相続税と土地活用について理解するには土地がどのように評価されるのかを知る必要があります。
土地の評価方法について様々な方法があり、混乱しやすいポイントです。
土地の価値、価格を示す評価方法は5つあります。ざっくりとした理解で大丈夫です。それぞれの特徴と違いについて確認しておきましょう。
2-1 )実勢価格
実勢価格とは、実際に取引された土地の金額のことです。
近隣の土地価格の相場や売り出し価格ではなく、実際に取引された金額のことを示した評価額になります。
周辺地域の土地の価格や同じような形状、立地条件の土地と比較しての価格の参考にします。ただし土地の価格は変動しますので実際に取引された時点と今の価格が一致しないことを考慮することが必要です。
調べ方は国土交通省の土地総合システムで検索することができます。日本全国のマップから調べたい地域をピンポイントで検索することができます。
2-2 )公示価格
公示価格とは実勢価格を元にしたあらゆる土地評価の基準とする公式な土地の価格のことです。
正式には地価公示と言い、全国各地の実勢価格や周辺状況などを考慮して国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1回発表しています。固定資産税や相続税評価額でも公示価格を元に土地の価値を評価します。
実勢価格同様に国土交通省の土地相互システムで検索することができます。
2-3 )固定資産税評価額
固定資産税評価額とは固定資産税を算定する際の不動産に対する評価額のことです。
金額の決定は市区町村が行います。評価額は公示価格の70%程度を基準にその他評価の要件を踏まえて算出されます。
固定資産税評価額は相続の際にも基準として用いられる土地の評価額となります。
固定資産税評価額は毎年贈られてくる固定資産税の納税通知書に記載されているので確認しておきましょう。
2-4 )相続税評価額
相続税評価額とは相続税を算定するために行われる土地の評価額のことです。公示価格や固定資産税評価額を基準に相続する土地の評価額を決めます。
固定資産税と似ていますが、相続という点で評価に違いがあります。
ここで少し混乱しそうなので整理しておきましょう。
実勢価格 = 実際に取引される土地の本当の価格。
公示価格 = 実勢価格のデータを根拠に土地の価値を見積もるための基準価格。
固定資産税評価額 = 公示価格を基準に、今持っている財産に掛けられる税金のための土地評価。
相続税評価額 = 相続する土地を金額として表し、現金等他の財産と総額で税金を算定するための土地評価。
土地の価格評価に関してこの4つの言葉はよく出てくるので混乱しないように気を付けてください。分からなくなったらまたこの記事を読み返せばよいので簡単に覚えておきましょう。
2-5 )路線価方式と倍率方式
相続税評価額では公示価格を基準に「路線価方式」か「倍率方式」を用いて算定します。この2つの言葉も良く使われるので簡単に確認しておきましょう。
①路線価方式
路線価方式による土地の評価方法とは、接している道路(路線)に決められている価格を基準に対象となる土地の評価額を決めましょう。という評価方法です。
②倍率方式
路線価はどこにでも設定されているわけではなく、路線価方式で計算できない土地というものがあります。そういった場合は評価倍率というものが設定され、固定資産税評価額に評価倍率を乗じて算定する。という評価方法です。
3 )土地の価格を変える4つの要素
土地の価格について、正確に知ることは専門家に依頼しない限りできません。しかし相続税対策として土地活用をした方が良いのかを考えるのであれば、自分の持っている土地が基準より高くなるのか、安くなるのかくらいは把握しておいた方が良いでしょう。
相続税評価額は路線方式や倍率方式だけで決まるわけではありません。これらも参考に、実際どのような土地なのかということも踏まえて算定されます。
例えば、路線価と面積だけで相続税評価額が1億円とされても、それ以外の要素によって使い道がない土地というものが存在します。
3-1 )間口の広さ
間口とは所有している土地が道路に接している部分の広さのことです。間口が狭いということは自分の土地に出入りするのが不便であると同時に、その土地で何か事業を始めるのにも様々な制限を受けることになります。結果的に利用価値が低い土地、実勢価格の低い土地ということになってしまいます。
こうした間口の狭い土地に関しても補正率が設定されており、通常の評価に補正が加えられて評価額が低くなるようにされています。
3-2 )崖や傾斜
崖や強い傾斜がある土地では人が住んだり大きな建物を立てたりするのに不利です。活用できる面積がせまいのに、通常の平地と同じ扱いでは土地の利用価値に差が出てしまいます。崖の傾斜や面積に占める割合を含めて補正する計算方法があり、崖や傾斜なども考慮した評価額が算定されるようになっています。
3-3 )土地の形状
土地には様々な形があり、面積だけで判断するのは難しい場合があります。例えば間口50mで奥行2mの合計100㎡の土地では活用方法が限定されてしまいます。またそのような土地を欲しいという人も限られるため売却するにも価値が低い土地となります。
こういった場合にも補正が加えられるので面積だけで固定資産税を判断しないようにしましょう。
3-4 )広すぎる土地
広すぎる土地も利用方法が難しいため補正が適用され相続税評価額を減額することができます。
広すぎる土地とは三大都市圏においては500㎡以上の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上とあるのですが三大都市圏の定義が分かりにくいので、「個人宅で500㎡以上の土地を持っている場合は減額できるかも」と覚えておきましょう。
4 )基本的な3つの相続税対策
4-1 )現金を土地に変える
預貯金を含む現金の相続税ではそのままの金額が適用されてしまいますが、土地に変えた場合評価額は20%ほど減額することができます。
相続税で土地の評価額を決める路線価は公示価格の80%に設定されています。
つまり
1億円の現金 = 1億円の相続として算定
1億円の価値がある土地 = 8000万円の相続として算定
ということになります。
なぜこのようなことができるかというと、土地は現金に比べて不安定であるからです。土地は価値があっても買い手が見つからなければすぐに現金化できません。買い手を探す手間や買い手が見つからないリスク、買い手を見つけるまでに地価が下がるリスクなどもあります。
こうした理由から土地は現金を持っているよりも相続税額を下げることができます。
4-2 )土地活用で相続税評価額を下げる
相続税は相続する財産の総額で税率が変わってきます。また控除金額以内であれば相続税の対象にもなりません。相続とは現金や土地などプラスになるものだけではなく借金などのマイナス要素も同時に相続します。
つまり、価値ある投資を適切に行っておくことで相続税の対象となる財産を減らしつつ、未来につながる資産を形成することができるということです。
[ 例 ]
1億円の現金 → 1億円の賃貸物件
(1億円 – 1億円)+ 賃貸物件の相続税評価額
賃貸物件の相続税評価額=賃貸している部分に関して評価額が減算される。
4-3 )小規模宅地等の特例を使う
相続税には小規模宅地等の特例があり、これを利用して相続税評価額を下げることができます。対象に定期用されれば最大80%の減額を受けることができます。
[ 例 ]
1億円の小規模宅地の特例対象 = 相続税評価額は2000万円
相続税で納税のために引き継げなくなると困るものがあります。
例えば家族が一緒に住んでいた家や小規模な事業に使っていた事務所に対して、所有者が亡くなったことで多額の納税が必要になった場合、家を手放さなければならなかったり、事業の継続が困難になってしまったりということが起きてしまいます。相続によってこのような事態を避けるために「小規模宅地等の特例」というものがあります。
対象となるのは
- 被相続人等が事業に使用していた宅地
- 被相続人等が住むために使用していた宅地
です。
この特例にはいくつか制限があるので注意も必要です。
- この特例は1つの相続で1つしか適用することはできません。
- 適用される土地の面積にも限度があり、超えた分は通常の算定となります。
小規模宅地の特例について詳細は国税庁のホームページで調べることができます。
自宅や重要な事業の継続にはこのような特例が適用できる可能性があるということを覚えておきましょう。
5 )相続税対策に土地活用する際の注意点
5-1 )事業を起こすならしっかりと計画する
相続税対策はあくまで無駄な相続税を減らすためであって、相続税を払わないことに執着しないように気をつけましょう。税金は本来国民生活のためにみんなが支え合うために必要なものです。
相続税を払わずにどうやって得をするかということばかりを考えていると逆に大損してしまうことがあります。
例えばアパートやマンションは建てれば勝手に入居者が集まってお金が入ってくるものではありません。事業として成立させるにはしっかりと計画する必要があり、失敗するリスクについても考えなければなりません。土地があるだけで成功するのであれば他の人達もやっているはずです。
相続税対策として土地活用を考える際は、事業として継続することができるのか、何より事業を起こす志やリスクに耐えるマインドが自分にあるかということもよく考えておきましょう。
5-2 )専門家のアドバイスを受ける
相続税対策や土地活用に関しては難しい法律や専門的な知識を必要とします。自分で勉強して基礎知識を持つことは前提として、やはり専門家のアドバイスを受けることも大切です。
ファイナンシャルプランナーや税理士、土地活用プランナー等相続や土地活用の知識を豊富に持った専門の人たちの話を聞くことで自分では気づかなかったことや情報に出会える可能性が広がります。
ただし専門家や業者の中には自分たちの利益優先に必要のない事業に融資させようと誘導してくる場合もあります。信頼できる業者を選ぶとともに複数の業者からそれぞれの話を聞き、信頼性を確認することも忘れないようにしましょう。
5-3 )1人で決めない
相続に関しては自分だけではなく相続人となる家族も巻き込むことになりますので、1人で決めないことも大切です。お一人の思いで相続や土地活用について決めてしまうと、他の家族との気持ちのすれ違いからせっかくの想いが反って争いの種になってしまうこともあります。
専門家による適切なアドバイスを受けつつ、家族が納得できる形を目指しましょう。
6 )まとめ
相続税対策としての土地活用を行うには、まず相続する財産が相続税控除額を超えるかどうかを確認しましょう。自分の持っている財産を正しく理解するためにも土地の評価方法を知っておくことは大切です。
相続税評価額では様々な控除や減額の制度があります。適切に相続税対策をしたうえで、土地活用の必要性があるのかどうかということを判断しましょう。
土地活用を行う際も、相続税対策だけではなく事業を運営する価値や継続できるかどうかなどもしっかりと計画する必要があります。
土地活用を行う際は適切なアドバイスかどうかを自分で判断するために基礎的な知識は身につけておく必要があります。
川木建設では長年地域に根差した信頼と建設や土地活用の知識と経験豊富なスタッフが揃っています。相続税対策や土地活用について知りたいことがあればお気軽にご相談ください。