【相談したい!】土地活用プランナーの役割とは?
はじめに
土地活用について、税金対策で困っている。空地を使ってどのように資産を形成したらいいのか分からない。
不動産の専門家といえば宅地建物取引者、相続はファイナンシャルプランナーや税理士、弁護士が思いつきます。今までは土地活用を総合的に考えてくれる分かりやすい専門家がいませんでした。
そんな中、土地活用を専門に取り扱う「土地活用プランナー」の登録が2015年から開始されました。
土地活用プランナーはその名称からも分かりやすく、土地活用を専門とした総合的な知識と活用方法で依頼者のサポートをしてくれます。
具体的にどのような知識をもって、どのように土地活用をサポートしてくれるのでしょうか?
この記事では土地活用プランナーがどのような資格で、どのようにオーナーをサポートしてくれるのか、具体的にどのような役割を持っているのかを解説しています。
この記事を読めば土地活用プランナーの信頼性や役割、サポートしてもらえる内容などが分かるようになります。
土地活用について相談する相手が欲しい、土地活用プランナーについてもっと知識が欲しいという人はこの記事を参考にしてみてください。
目次
1 )土地活用プランナーとは
1-1 )資格の概要
まずは土地活用プランナーとはどのような資格なのか、概要を確認しておきましょう。
資格の種類 | 公的資格 |
---|---|
資格の発行者 | 公益社団法人 東京共同住宅協会 認定資格 |
資格の設立 | 2015年 |
合格率 | 70~75% |
合格基準点 | 正答率60~65%程度。毎年変動 |
資格取得要件 | 受験するには制限なし。 名称を名乗るには2年以上の実務経験が必要 |
資格者の特権 | ADR調停人になれる |
土地活用プランナーは2015年に始まったばかりの新しい資格です。
公的資格とは法律で定められた国家資格に次ぐ資格で、各省庁や公益法人が認定、発行を行っています。
合格率や合格基準点から比較的難易度の高い試験ではありませんが、資格取得者のほとんどが宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、不動産関連者です。試験範囲は300ページ近くあるテキスト3冊から出題され、それなりに本腰を入れて勉強をしなければ合格できません。
公的機関が認めた資格であり、専門的な知識と実務経験をもった合格者だけが名乗ることを許されている資格です。
1-2 )土地活用プランナーの必要性が高まった背景
土地活用プランナーという資格が設立されることになった背景は、土地活用に関する専門家の必要性が高まったという社会的な要因があります。少子高齢化や核家族などの社会的変化に伴い、土地の相続や空地に関する問題が増えていきました。
土地活用に失敗したり、不適切な業者の斡旋を受けたりするケースも出てくる中で、これはオーナー個人の問題ではなく、公益の視点で、土地活用の失敗は地域や国にとっても大きな損失であると考えられるようになっていきました。
つまり、土地活用が成功するということは多くの人の利益になるという考え方に変わってきているということです。
2 )土地活用プランナーの特徴
2-1 )他の専門家との違いは?
土地活用に関しては関わることの多い不動産業や建築業、有資格者としては宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、税理士はそれぞれ土地取引や金融、税金、建築物などが本来の専門です。
土地活用とは土地取引や金融、税金、建築物など一体的な知識を必要とします。適切な土地活用のアドバイス、プランニングを受けられれば良いのですが、知識や経験の少ないオーナーはそれを見抜くことが難しく、事業の失敗や、悪徳業者に乗せられて無謀な事業を展開させられてしまうということも起きていました。
土地活用プランナーという資格を位置づけることで、土地活用の相談窓口が明確になります。土地活用プランナーは必要に応じて土地取引や金融、税金、建築物の専門家とオーナー様を結びつける役割を持っています。
2-2 )関わる人たちの幸せを目指す
土地活用プランナーは、土地活用を通じて関わる人たちを幸せにすることを目的としています。
関わる人とは
- オーナー
- やがてそれを受け継ぐ家族
- 土地活用を通じてサービスを受ける人
- 地域
- 事業を創って支える各種専門家、企業
などのことです。
これらの人を幸せにするというのは、目先の利益や事業の開始だけではなく、堅実な収支計画があり、将来的な展望までを考えた事業の提案やサポートを行うということです。
2-3 )土地活用プランナーが学んでいること
①試験合格までに学んでいること
土地活用プランナーは土地活用に関する幅広い分野の知識を一通り習得しています。具体的には土地活用に関する法令、資金計画、税務、建築・設備の基本と、それをどうやって実践的に使うかということを学んでいます。
土地活用に必要な基本的なことは学んでいますが、それぞれの分野において精通しているというほどの知識を持っているわけではありません。土地活用プランナーが必要とされているのは土地活用を統括していく知識と技術です。
例えば税金や法令に関して必要なことがあれば、専門家である他の職種と連携を図ります。
土地活用プランナーは、依頼主であるオーナーが土地活用による事業を行えるように手続きや必要な手続きの用意、関連する人と人とを繋げるための知識を持っています。
②試験後に学んでいること
試験後は各資格者の活動によって異なりますが、土地活用プランナー登録者には最新の情報や勉強会、セミナーなどの案内が届きます。
土地活用は世間の動向と共に大きく変動しやすい特徴があります。土地活用プランナーには関連する情報が届きやすくなっています。継続的に知識と経験をどれだけ積み重ねているかということも、土地活用プランナーには大切なこととされています。
③オーナーが学ぶケースも
土地活用プランナーは実際に登録しなくても試験だけでも受けることができます。土地活用の勉強は不動産や関連職種の人だけではなく、オーナーや依頼者側が学ぶことにも大きなメリットがあります。
土地活用に関して提案されたときに最終的に判断するのはオーナーです。判断基準となる知識や考えがあることで事業をよりよい方向へと導くことができます。
実際、土地活用プランナーの試験にはこのようなサービスを受ける側の人も受験しています。土地活用について知識を高めたいという人は合格だけでも目指すことをおすすめします。
3 )土地活用プランナーの役割
土地活用プランナーには土地活用を適切に行うために3つの大きな役割があります。
- 土地活用のプランニング
- 事業のコーディネート
- オーナーへのアドバイス
土地活用プランナーはこの3つの役割を果たすことによって、適正な運営ができる土地活用のプランニングを行っていきます。
それぞれの役割について、どういうものなのか具体的な内容を解説していきます。
3-1 )土地活用のプランニング
土地活用プランナーは、空地を有効活用するためのプランを作るという役割があります。
オーナーが希望する事業をただ聞いたり待っていたりするのではなく、土地活用のプロとして持っている知識を使って有効的な土地活用をプランニング行います。
土地活用プランナーがプランニングを行う際には事業として適切がどうかを判断するために次のようなポイントをおさえて考えます。
①土地の特徴
事業を展開するには土地の持つ特徴について理解しておく必要があります。土地には広さや立地場所、周辺地域の人口や開発状況などの特徴があります。
土地活用プランナーは依頼を受けた際、対象となる土地がどのような特徴を持っているかを確認します。
②事業の相性
土地活用でどのような事業をおこなうのかは土地と事業内容の相性が重要となります。
例えば車の需要のない場所で駐車場経営を行っても収益が見込めません。
土地活用プランナーは土地の特徴を把握し、どのような事業を、どのような規模で行うのかを考え、オーナーに提案してくれます。
③経営の見通し
土地活用プランナーの仕事は空地に事業を展開して終わり、ではありません。事業開始後も安定した経営ができるのか、将来的に売却したり、子供や孫に引き継がれたりするのかなど、経営の見通しも考慮したプランニングを行います。
3-2 )事業のコーディネート
土地活用プランナーは事業を成功に導くためのコーディネートを行います。
土地活用プランナーは専門的な知識を深く持っているわけではありません。土地活用プランナーは土地活用に必要な専門知識と、それに必要な他職種を知っていることで人と人とを結びつけて連携を図ります。
- マーケティング知識
- スケジュール管理
- 建築知識
- 各業界動向
- 建物管理・運営
- 設計事務所
- 測量事務所
- 建築会社
- 不動産会社
- 賃貸管理会社
- 金融機関
- 各種専門家(弁護士、税理士、司法書士、測量士等)
3-3 )オーナーへのアドバイス
土地活用プランナーは、オーナーが土地活用に関連する事業を行うために無駄な失敗やリスクを負わないために次のような視点を持ってアドバイスをすることが基本とされています。
①失敗のリスクが高い場合は提言する
土地活用プランナーは依頼主の意向に沿わない場合でも、その事業に関連するリスクや失敗の可能性について助言をします。
例えばオーナーがどうしても空地で駐車場経営を臨んでいたとしても、周囲に駐車場の需要がなく失敗する可能性が高いと判断できるような場合、土地活用プランナーはその旨を分かりやすくアドバイスしてくれます。あまりに無謀な事業の場合はプランの見直しなどの提言も行ってくれます。
②収支は悪い方の数字で考えておく
土地活用プランナーは事業の失敗によりオーナーが困ることのないようにプランニングを行います。そのため事業計画等で収支を考えるときは悪い方の数字で考え、万が一に備えた提案を行ってくれます。
土地活用で行う事業は必ずうまくいくという保証があるわけではありません。経営リスクを減らすためにも土地活用プランナーは最悪の事態を想定し、それに備えたプランニングを行います。
特にお金に関する収益と支出に関してはどちらも悪い場合の数字を想定しておくことを基本としています。
③未来のことも考えておく
土地活用プランナーは今行われている土地活用の事業に関して、目先の利益、今だけの存続ではなく、受け継がれる家族や将来の展望についても考えて助言を行ってくれます。
土地活用はその性質上、相続税や事業費用の返済など、今だけではなく将来的に子や孫の代までも受け継がれていきます。土地活用プランナーは先々を考えて困ることがないか、また今は利益が少なくても将来的には資産価値がでるなどの考えを持って助言をしてくれます。
4 )土地活用プランナーはADRの調停人認定資格
土地活用プランナーはADRの調停人になれるという認定も受けています。ADRを聞きなれないという人も多いと思うのでADRの概要や調停人の役割について解説します。
4-1 )ADRとは
土地活用に関わらず、民事のトラブルが起きた際に裁判所に行く前や行くほどでもない内容の時に話し合う場をADR(裁判外紛争解決手続き)と言います。
当事者同士の話し合いと裁判所の裁定の中間に位置し、「仲裁」「調停」「あっせん」など話し合いの呼び名はさまざまですが、「公正な第三者が関与してその解決を図る手段」として行われます。その際に公正な第三者の立場として調停人が必要になります。
本来弁護士以外は法的な紛争に介入できない法律があります。しかし法務大臣に認証を受けた資格があり、その資格を持っている人は指定された専門分野においての調停人となることができます。
土地活用プランナーは「土地活用関連」の紛争解決のためのADR調停人の認定を受けており、該当するADRの調停人になることができます。
4-2 )調停人は双方の合意を目指す
土地活用プランナーが調停人となる場合は「公正中立な立場」で行います。
調停人は次の知識と技術をもって双方の合意を得ることを目的としています。
- 法律の知識
- 紛争分野の専門性
- ADR調停人としての技術
この場合のポイントは「双方の合意」ということです。
土地活用プランナーが調停人となっても、オーナーに有利な便宜を行ったりするわけではないことは理解しておきましょう。
公正中立な立場から裁判になる前に紛争を解決することを目指します。
土地活用プランナーはADRの調停人になる際には指定された研修を受けています。
土地活用の知識と問題解決の視点から、土地活用に関連する様々なトラブルを未然に防ぐ方法や対策についても相談することができます。
5 )まとめ
土地活用の専門資格である土地活用プランナーは、活用方法や事業の展開、その後のことまで考えた提案、統括、助言などを行ってくれます。
もちろん土地活用プランナーではないからといって、このようなサービスを受けられないというわけではありません。土地活用プランナーは資格の名称からも土地活用の相談窓口として分かりやすいという目安になります。
土地活用プランナーの資格は開始されてからまだ日が浅く、資格を持っている人はまだまだ少ないのが現状です。
川木建設では土地活用プランナー以外でも土地、収支、税務に精通した専門家が多数在籍し、土地活用に関して総合的なサポートを行っています。
土地活用には立地条件が重要です。創業明治2年の川木建設では地域の特徴を知り尽くし、オーナー様にとって最適な土地活用方法を提案しています。土地活用についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。